研究課題/領域番号 |
17650225
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
武田 英二 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (00144973)
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研究分担者 |
竹谷 豊 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教授 (30263825)
山本 浩範 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 助手 (60314861)
新井 英一 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 助手 (60325256)
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キーワード | リン酸 / 血管内皮細胞 / 酸化ストレス / 高リン血症 / 動脈硬化 |
研究概要 |
現代の食生活におけるリンの過剰摂取が生活習慣病などの発症に関与していると考え、本研究では食後高リン血症が、生体機能特に血管機能に及ぼす影響を細胞レベルおよび動物レベルで解明することを目的とした。昨年度までに、ウシ胸部大動由来血管内皮細胞において、細胞外リン濃度の負荷により活性酸素産生が増加すること、またNO産生を抑制することを明らかにした。さらに、動脈硬化関連遺伝子(lox-1、COX-2、MCP-1)の誘導を促進することも見出した。高リン負荷は、血管内皮細胞におけるNO産生を抑制したことから、血管弛緩を抑制すると考えられる。そこで、ラット胸部大動脈リングを用い、アセチルコリンによる血管内皮依存的な血管弛緩反応に及ぼす高リン負荷の影響を検討したところ、高リン負荷により血管弛緩反応が抑制された。そこで、本年度は、さらに高リン負荷によるNO産生抑制メカニズムの解明と、動物モデルにおいて、in vivoにおける高リン負荷の血管機能に及ぼす影響を検討した。その結果、高リン負荷によるNO産生抑制は、細胞内へのリン酸の流入とそれに引き続き起こるPKCの活性化により、eNOSの497番目のスレオニン残基のリン酸化が促進し、一方、Akt/PKBによる1177番目のセリン残基のリン酸化が抑制されることでeNOSの活性が抑制されることによることが明らかとなった。また、ラットを0.02%の低リン食で2週間飼育したのち、0.6%あるいは1.2%の高リン食を1〜3日間投与すると、低リン食で飼育した場合と比べ、血清リン濃度の上昇と共に、胸部大動脈を用いた血管弛緩反応試験において、アセチルコリンによる内皮依存性の血管弛緩反応の低下が認められた。以上のことから、高リン食を摂取することは、血管弛緩反応を低下させること、さらには、動脈硬化の発症・進展に関わる遺伝子の発現を促進することから、動脈硬化の危険因子となりうると考えられた。
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