研究概要 |
健常者より擦過法を用いて、舌の葉状乳頭部の組織を取得し、Chomczynskiらの方法によりtotal RNAを取得した。取得したtotal RNAから逆転写によりcDNAを調製した。このcDNAをテンプレートとし、味覚受容体候補であるT2R1,3,4,5,7,8,9,10,13,14,16,38,139,40,44,45,47,48,49(T2Rs)、THTR4,5,7,9(THTRs)、およびβ-actinをプライマーとして、サイクル数35回でPCRを行なった。PCR産物をマイクロキャピラリー電気泳動法で測定した。募集した35才以上の健常者20例では80%以上の被験者においてTAS2R3,8,9,10,16,39,45,47,48の発現を認めた。特にTAS2R8,9,10においては95%以上の被験者で発現を認めた。しかしTAS2R4,14では15%未満の被験者にしか発現を認めなかった。これに対し、30才以下の健常者39例ではTAS2R3の発現を約60%の被験者で、またTAS2R13,45,47,48,49の発現を約50%の被験者において認めたが、TAS2Rsの典型的な発現パターンを認めなかった。健常者におけるTAS2R1,3,7,8,9,10,13,16,40,47の発現率は10代の20%から40代の90%以上と加齢と共に増加した。60代以上においてもT2R3,8,9,10,13,47の発現率は90%以上と高い水準を維持していた。これに対してT2R5,7,38の発現率は、60代以上では低下した。
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