研究概要 |
本研究計画の目的は,最新のIT技術を活用して,科学教育における歴史教材の作成方法の研究を行い,実際にネットワーク上にサーバーを構築して稼動しながら,作成した教材の蓄積方法と利用方法の研究も実践的に行うことにある。科学教育において,直接の専門科目の教育に加えて,その周辺分野の学識や,学問研究の歴史的な発展を学ぶことは,学生の視野を広げ,柔軟な思考力,幅広い適応力を養う上で極めて重要である。特に,ビデオ撮影による研究者の談話、講和の直接体験型コンテンツを含むWeb上のインタラクティブな教材作成,サーバーによる教材の系統的蓄積、改善、提供とネットワークを介した柔軟な利用方法の開発、の全過程を基礎から研究し、実際にプロトタイプシステムを作成することが目的である。平成19年度における研究成果は以下の通りである。 1.素粒子物理学の発展の歴史を題材とした,歴史教材の作成を進めた。平成19年度は湯川、朝永生誕百周年の展示や講演会が各地で行われたので,その記録を行った。また、金沢大学および金沢21世紀美術館において、湯川、朝永生誕百周年の企画展を行った。金沢大学資料館および石川県自然史資料館所蔵の第四高等学校の物理機器やその他資料の調査を行って,歴史教材としての展示を行った。特に一部の実験機器については,現代工芸技術を用いて復元品を作成し,実際に作動させた。 2.20世紀後半の物理学における学問の発展を支えた人々を集めたシンポジウムを企画、開催した。基礎物理学研究所の研究計画として提案し,100余名の参加を得て3目間に渡って,多くの貴重な報告と議論がなされた。シンポジウムの記録を,ビデオ記録から完全に再現する形で作成し,出版した。 3.ビデオ記録,物理学史や研究グループ関係の資料の電子化を更に進めて蓄積した。Webサーバーのプロトタイプを作成し,関係者内に公開している。一般公開のために著作権などの問題をクリアする準備をしている。
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