研究概要 |
平成18年度は,昨年度に引き続き記述形式数学試験の分析を行うための基礎研究を行うとともに,マークシート形式数学試験との比較を行う手法の開発を行った。 今年度も名古屋大学は引き続いて「受験生の思考力、表現力等の判定やアドミッションポリシーを踏まえた入試の個性化に関する調査研究」で文部科学省からの研究委託を受けたので,数学教育研究の立場からこれに協力する形で,その基礎的・理論的部分の研究を受け持った。特に委託研究費の利用可能となるのが12月となるため,それまで研究が中断しないよう,この期間の研究経費を担った。 この委託研究は同一問題をマークシート形式・記述形式で出題し,その答案を比較検討することで両者の特性を明らかにすることを目的としている。 今年度はまず昨年度実施した記述形式試験についてその結果の分析方法の検討を数学の立場から行った。すなわち解答プロセスを分析し,配点の検討,解答パターンや誤答の可能性といった検討を行い,また問題内容による結果の特徴をもつかむこととした。 こうした検討結果を踏まえて,本年1月に委託研究としての本調査が行われ,その結果の分析を現在進めている。これは次年度の研究課題である。 上記委託研究では同時に数学観,数学学習態度についても被験者にアンケートを行っており,このアンケートに現れた特性と試験結果との関連の分析も次年度の課題である。 この委託研究における問題作成,採点基準作成,結果分析などのあらゆる点において,本萌芽研究の成果が生かされ,質の高い調査を行うことができ,有益な分析結果も得られつつある。 この研究にあたっては,国立教育政策研究所研究員の協力を仰いだ他,他大学の入試担当経験のある数学者との交流を行い,このためかなりの部分を旅費として用いた。 またこれらの研究を支援するため,1名のRAを採用した。
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