研究分担者 |
村上 隆 中京大学, 社会学部, 教授 (70093078)
安野 史子 国立教育政策研究所, 教育課程研究センター・基礎研究所, 主任研究官 (00370081)
三宅 正武 名古屋大学, 大学院・多元数理科学研究科, 教授 (70019496)
西森 敏之 北海道大学, 高等教育機能開発教育センター, 教授 (50004487)
|
研究概要 |
本年度は,昨年度に引き続き記述形式数学試験の分析を行うための基礎研究およびマークシート形式数学試験との比較を行う手法の開発を行い,その成果に基づいて昨年度実施したモニター試験の結果の分析を行った。 この結果,問題作成・モニター調査実施方法などでその前の年度より改善が見られ,質の高いデータが得られたこと,ほぼ例外なく記述形式の得点がマークシート形式のそれを上回ることはないこと,両者で差が付くのは解答方針を立てる部分,複数ステップにわたる計算が必要となる部分で大きいことが分かった。記述形式の方が解答の方法に自由度が大きいので,得点が取りやすい可能性はあるが,その影響は見られなかった。したがって原則的に記述形式の方が広範な学力を見ていることが実証された。しかしステップ数が大きくなると殆どが途中までしか行かないという床効果が現れ,弁別力はかえって低下する場合のあることも観察された。 また記述形式とマークシート形式との得点の散布図を取ると,対角線を境にマークシート形式高得点側のみに分布するといういわゆる「森田の観察」は,マークシート形式の得点の優位さとマークシート形式得点の天井効果との相乗作用であることも分かった。 なお大学入試成績との相関についてはいずれの場合も特に高い相関は認められなかった。 一方大学入試の改善のため,高等学校との意思疎通を図る集まりとして,名古屋大学数学教育セミナーを開催し,大学院生をも含む形で交流の場を持った。
|