本研究の目的にしたがって、以下のような研究を行った。 比較教育学的アプローチ:イギリスの教師教育政策研究者とフィンランドの科学教育研究者を招聘し、理科の教師教育政策に関するセミナーを実施した。なお、本セミナーにおける理科の教師教育政策については、現在、イギリスの研究協力者とともに両国の事例を分析し、共著論文を作成中である。また、フィンランドの研究協力者とは、国際学力調査TIMSS-R(1999)の理科の調査結果について、HLモデルによりフィンランドと日本の科学教育に与える文化的背景について比較分析を行い、論文として発表した。 さらに、フィンランドにおけるNational Core Curriculumの改訂作業と、イギリスにおけるTwenty First Century Scienceの開発に関するそれぞれの資料を収集した。なお、現在それらの分析中である。この他に、イギリスの1980年代以降の科学的リテラシーに関する政府の動向と研究者集団の動向について分析を行った。 歴史的研究:政策科学のプロセス論モデルに基づき、政策プロセスにおけるアジェンダの設定の例として、昭和期における教育の現代化運動について取り上げ、アメリカとイギリスの現代化運動の共通点と相違点について、国家の関与と民間の関与の視点で分析した。また、特にアメリカで開発されたESCP(Earth Science Curriculum Project)を取り上げ、資料を収集し、その開発経緯、わが国の地学教育への波及について検討した。
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