研究概要 |
本研究では,資源循環型社会の構築を目指した学習内容区分に,地球温暖化防止に関わる木質材料の優位性を含めた木材の循環利用の流れを配置すると共に,この流れを学習する教材を制作した。学習プログラムでは,資源の循環利用において,資源生産(学習内容:資源開発と環境保全),製造(学習内容:資材の特徴とその加工技術),使用(学習内容:製品の選び方・使い方),廃棄(学習内容:廃棄物の処理方法)の各区分毎に木材利用に関する内容を位置づけた。なお,この学習プログラムを構成していくために,まず,宮崎県における主に児童およびその保護者を対象とした森林や木材を利用した教育活動を調査した。その結果,宮崎県における森林や木材に関わる教育活動は木材利用普及啓発のための県の施設および県の事業(「県産材消費拡大キャンペーン事業」など),さらに森林・木材関連団体の活動によって数多くの活動が実施されており,その活動内容として,現在数多く実施されている木工教室の場合,人工林の多面的機能の回復を背景に,国産材の利用推進を目的とした木によるものづくり機会の提供と考えられるが,この目的を達成するためには,木材利用の環境保全性,すなわち,「木を切って使うことは,必ずしも環境破壊につながる行為でなく,環境保全に貢献すること」についてふれることが必要と考えられた。さらに,資源循環型社会の実現に向けて,現在実施されている様々な教育活動を,より効果的な環境教育活動とするためには,木質資源の循環利用の流れにおける各活動の位置づけを認識できるように各活動を関連づけるための核となる基礎的な学習が必要と考えられた。このことを踏まえ,地球温暖化防止に貢献する木質資源の循環利用に関する基本的な事柄,特に地球温暖化防止対策における森林の役割と木材利用の意義について学習するための児童向け学習用アニメーションを制作した。
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