院内学級では子供達は空間的にも心理的にも閉鎖的な状況に置かれがちである。また、多様な学年の子供達に対して、個々の病状に応じて、治療と教育などが行われるため、通常の教室環境におけるような学習者間、また、教授者とのコミュニケーションが難しい。 これらの問題を解決する有効な手段は院内学級の情報化及びユビキタス化であると考え、院内学級での学習にe-learningを導入するための、システム構築を行った。 初年度である17年度では、教室のPC環境の整備、ベッドサイドティーチングを実現するための、病院内に適したモバイルコンピューティング環境の検討、及びe-learningのためのサーバ構築を行った。 e-learningの構築には、オープンソースのLMS(Learning Management System)であるMoodleを採用し、学習環境の整備やコミュニケーション環境の構築のために、掲示板、チャットなどのモジュール、アンケートや小テストなど学習活動に必要なモジュールを設定した。 サーバを運用開始してまだ間もないが、自己紹介やチャット、日誌、アンケートなどが容易に院内学級の教員に設定され、利用されている。このe-learningの運用により、院内学級ばかりでばく、ネットワークが利用できる場所であれば継続して教員とコミュニケーションをとることが可能となった。 次年度においては、PHSを利用したモバイルコンピューティングにより、病室から出ることが困難な児童のための"ベッドサイドティーチング"を実現するためのシステム、及び協調学習を実現するためのマルチメディアツールを構築する予定である。
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