研究課題/領域番号 |
17650261
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
多川 孝央 九州大学, 大学院システム情報科学研究院, 助手 (70304764)
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研究分担者 |
井上 仁 九州大学, 情報基盤センター, 講師 (70232551)
安武 公一 広島大学, 大学院社会科学研究科, 講師 (80263664)
山川 修 福井県立大学, 情報センター, 教授 (90230325)
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キーワード | eラーニング / 複雑ネットワーク / コミュニケーション |
研究概要 |
教材の提示やオンラインテスト、コミュニケーションなどの機能を統合したコース管理システム(CMS)の利用を軸として、eラーニングは急速に高等教育の分野において浸透しつつある。今年度、本研究課題の目標であるeラーニングにおける学習過程をグラフ理論に基づくネットワーク分析を通じて解明する一環として、CMSを利用した協調学習の記録でもある、BBS上でのディスカッションの中に出現する語句すなわち概念と他の概念との間の相互関係のネットワークの構造を分析した。 分析対象はセミナー形式で行われる授業の中でのコミュニケーションであり、4名からなるグループに対してWikiページ作成の課題を課し、その作業過程を掲示板上で議論させたものである。この授業の掲示板メッセージ群から任意にスレッドを選択しテキストデータとして抽出、文中に出現する語彙の共起性から当該ディスカッションにおける概念のネットワーク構造を隣接行列として抽出した。この隣接行列をネットワーク分析ツールによって処理することで、ネットワーク構造の指標値「平均頂点間距離」と「クラスター係数」を算出した。指標値の分析により、ネットワーク構造がSmall-World性と呼ばれる性質に近い性質を持っているであろうことがわかった。また、このディスカッションに対する観察と、すでに複雑ネットワークの分野で知られているネットワークの情報伝播に関する性質から、円滑にコミュニケーションが行われる場合、そのことは概念のネットワーク構造とその指標値に反映されるのではないかという推論を得た。
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