学会発表:第22回国際科学史学会(於北京・開催2005/07/25〜29)で「Xindongyali(新東亜暦) and Kyoto in 1930's」と題し、1930年代の京都(東方文化研究所)と中国(南京臨時維新政府)における新東亜暦編纂事業、および南京紫金山天文台の修復事業について、能田忠亮が遺した史料(「紫金山天文台復興事業経過概略」「民国三十年国民暦編纂委員会会議録」など)および、1942年から43年にかけて大政翼賛会興亜局から刊行された「暦法調査資料」(全13輯)に焦点を当てた学術発表を行った。また同学会では植民地科学(Colonial Science)のセッションが開かれており、参加者と意見交換を行った。 資料整理:京都大学人文科学研究所所蔵資料のうち、能田忠亮宛に送られた書簡(高木公三郎、藪内清、森川光郎らによる)、東洋暦術調査関係資料(「東洋暦術調査事業趣旨」「昭和十七年度予算書-臨時部予算提出理由書」ほか)については、翻刻を完了した。 来年度以降は、引き続き資料収集を行うとともに、新東亜暦編纂に向けて、当時南京において紫金山天文台の修復事業にかかわっていた高木公三郎・森川光郎の両名がどのような働きを行っていたのか、調査を進めていく予定である。また新東亜歴編纂事業の要となっていた荒木俊馬著『雨夜夢話』(昭和17年・日本放送出版協会刊)、および株本訓久氏が翻刻した荒木の書簡(「高木公三郎から荒木俊馬への20通の書簡」『科学史研究』no.236)を分析し、荒木の中国観、編暦と思想との関連性について追求していく予定である。
|