研究課題/領域番号 |
17650275
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
小堀 孝之 富山大学, 芸術文化学部, 教授 (30279856)
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研究分担者 |
戸津 圭之介 東京芸術大学, 美術学部, 教授 (60155538)
横田 勝 富山大学, 芸術文化学部, 教授 (10029225)
武笠 朗 実践女子大学, 文学部, 教授 (30219844)
三船 温尚 富山大学, 芸術文化学部, 教授 (20181969)
清水 克朗 富山大学, 芸術文化学部, 助教授 (70235646)
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キーワード | 江戸時代 / 鋳銅大仏 / 分鋳技法 / 組み立て技法 / 分割鋳型 / 腐蝕の色調 / 三次元レーザー測量 / 大仏表面積 |
研究概要 |
九品寺大仏の体部は「前面」・「後面」を先に鋳造し「中面」を最後に鋳造して、同時に「前面」、「後面」と「中面」を接合している。頭部、右腕、左手は別に鋳造し、体部に差し込んで鋲などで固定している。蓮台は一度の注湯で作られている。ゲージを回転させて作る梵鐘と同じ「挽き型技法」で蓮台の鋳型を作り、その鋳型面に連弁を彫り込んでいる。大仏と蓮台は別に鋳造して、完成した蓮台に大仏を乗せたと考えられる。 天王寺大仏は欠損部分を青銅以外の材料で補修した可能性が高く、その部分の色調は青銅腐蝕とは異なるものとなっている。鎌ヶ谷大仏などにもみられるように、分鋳で接合されたパーツは同じ青銅であっても長年の風雨で色調が異なる。頭部は肉髪を含む上半分の色調が異なることから、ここで分鋳されている可能性が高い。背面に顕著にみられるパーツとパーツを区切る直線の両側には円形の鋲に見える痕跡がある。大仏胎内に工人が入り、外と中でパーツを鋲留めしたとも考えられる。板状のパーツを鋲で組み上げる方法なら、江戸大仏の一つの製作技法を示す貴重な資料といえる。 武生大仏の体部は大きく下段、中段、上段の3段に分けられ、下段は前後に2つに分けられる。基壇の上に蓮台を置き、その上に下段、中段、上段を組み合わせる。体部はおよそ38回の「分鋳」で鋳造している。体部だけで鋳型はおよそ90個に分割されている。頭部、右腕、左手は体部とは別に鋳造し研磨仕上げしたものを体部に差し込んで固定している。頭部は、体部に差し込んだあと4本の鉄クサビで固定している。この鉄クサビは先が二つに割れるように切れ込みがあり、クサビを打ち込んだ後、先を二つに開いて抜けない工夫がなされている。蓮台は下段、中段、上段、天板の4パーツからなる。上段と天板は分鋳で接合されている。 技法調査と合わせて三次元レーザー測量による図化、表面積算出、重量計算もおこなった。
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