研究概要 |
東京湾内の一つの砂浜で70粒のレジンペレットを採取し、一粒一粒材質の識別、色、表面付着物の観察を行った後、一粒一粒PCBs含有量の測定を行った。70粒中材質確認が確実な55粒について分析した。PCBs濃度は粒間で2桁程度の変動を示した。材質ではポリエチレン(PE)の方がポリプロピレン(PP)よりPCBs濃度が有意に高かった。劣化度の指標のカルボニルインデックスとPCBs濃度の間には有意な関係は認められなかった。一方、ペレットの色が黄変したペレット中のPCBsが高い傾向が認められた。そこでモニタリングには黄変したPEを用いて、10粒づつまとめて1バッチとしてPCBsの分析を行い、3つ以上のバッチを分析し、PCBs濃度の中央値をとるという手法を確立した。 日本全国の47の海岸で市民ボランティアがレジンペレットを採取し、本学の研究室に郵送された。PEレジンペレットを選別して黄変、付着物の有無で分類してから、PCBsの分析を行った。PCB濃度は北海道や種子島で低く東京湾とその周辺および大阪湾で高いという地域差を示した。さらに47地点中14地点では指標生物のムール貝を採取し、PCBsの分析を行った。レジンペレット中のPCBs濃度とムール貝中のPCBs濃度の間には相関が認められた。以上の成果はEndo et al.(2005)として公表した。 以上をもってモニタリング手法が確立できたので、この手法を世界的に拡大するモニタリング手法(International Pellet Watch)を以下の手段で提案した。 ・Home pageの作成:URLは以下の通り。 http://www.tuat.ac.jp/~gaia/ipw/index.html ・国際学会での講演 The Plastic Debris Rivers to Sea Conference (California, USA,2005年9月)、Advances in Coastal BioGeochemistry (Massachusetts, USA,2005年11月)、Third International Symposium on Southeast Asian Water Environment (Bangkok, Thailand,2005年12月)においてInternational Pellet Watchについて口頭発表を行い、世界の海岸でのレジンペレットの採取、農工大への送付を呼びかけた。現在試料が到着し始めている。
|