昨年度改造したライダー装置を用いて、本年度も引き続き名古屋大学構内におけるライダー観測を継続して行った。観測は昨年同様、昼夜連続的な観測を比較的天候の良い条件め日に行った。平均すると週1〜2回で、一回の観測で一昼夜通して観測を行うことができた。境界層上端に観測された雲から地上まで降りてくるようなエアロゾルの層が、昨年同様にしばしば測定することができた。このようなエアロゾル層は波長依存性が通常の境界層内のエアロゾルより小さく、より粒径の大きいエアロゾル粒子からなることを示唆している。また、偏光解消度は小さく、球形に近い形をしていることが予想される。 木年度も、夏季乗鞍岳の東京大学宇宙線観測所にてシーロメータ(小型ライダー)を設置し連続観測を実施した。境界層高度の変化に伴いエアロゾル濃度の変化が見いだされ、エアロゾルの物理的・化学的な変化を示唆しているようである。上記の大粒径エアロゾルに加えて、逆に波長依存性が大きいエアロゾルが境界屑上端付近にしばしば観測された。このような小粒径エアロゾルと雲の関係はまだ不明であるが、乗鞍岳におけるシーロメータとSMPSの同時観測ではシーロメータで観測された雲(霧)の合間に、SMPSで核生成モードの粒子が観測された例が複数あり、雲と新粒子生成の関係を示唆する結果が得られた。このような雲と新粒子生成の関係は予想外の結果であり、このプロセスに関しても詳細は不明なままである。 今後、上記のような境界層上端付近における雲起源のエアロゾル位子生成、および今回見いだされた気体から生成されたと見られる新粒子の生成の関係を明らかにする必要がある。
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