東京大学大学院工学系研究科原子力国際専攻のタンデム加速器施設(MALT)のAMSビームコースに新たにTOF検出装置を組み込み、従来より設置してあるガスカウンターと組み合わせ、ハイブリッド検出システムを構築した。TOF検出装置のタイミング検出にはカーボンフォイルとMCPを使用した。タイミング検出でのビーム散乱を抑える構造を設計し、最終的な検出効率としておよそ50%を実現したが、今後さらなる改良を自指している。^<129>I-AMSシステムのバックグラウンド低減のための重要な項目として、^<129>Iフリーのヨウ素キャリアの探索があるが、今回、米国Purdue大学より、極めて年代の古いヨウ素を入手することができ、本システムでの測定結果は、^<129>I/^<127>I〜2×10^<-14>であった。これは、このヨウ素中の^<129>Iレベルが極めて低いことと、我々の構築した検出システムのバックグラウンドレベルの低さを同時に証明するものである。これにより、今後地球化学的サンプルの^<129>Iの測定の可能性が拓けた。一方、土壌中のヨウ素を抽出するための前処理装置一式を開発構築し、日本各地の土壌の^<129>Iレベルの測定を行い、データを蓄積している。また、青森県下北半島における重点的土壌採取を行い、次年度の測定を待つ状態にある。
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