研究課題
ヒト由来繊維芽細胞およびチャイニーズハムスター細胞を用い、X線マイクロビーム照射装置を用いて、個々の細胞に各種線量のX線を照射し、照射後、小核形成を指標に、バイスタンダー効果が遅延型影響の発現と関連する現象であるか否かを検討した。これまでの我々の研究成果よれば、シャーレに植え込んだ10^4個の細胞集団のなかのたった一つの細胞にマイクロビームで1GyのX線を照射し、その培養液を回収して非照射細胞に処理しても有意にマイクロヌークレイが誘導されるので、放射線照射によってバイスタンダー効果を引き起こす強力な因子が培養液に放出されている事は明らかである。その因子の特定をするために、細胞をスライドグラス上に培養し、照射後に、未照射細胞と培養液を介して接触させる実験系を導入し研究をおこなった。その結果、こうしたバイスタンダー効果は、照射細胞を照射後、非照射細胞と培養液を介して接触させれば、細胞間の接触が無くても発現するので、被ばくによって細胞外へバイスタンダー因子が放出されていることが判った(原田、平成17年度修士論文)。かつ、バイスタンダー効果はビタミンC処理で有為に抑制されるので、バイスタンダー効果の媒介に長寿命ラジカルが関与している可能性がある。こうしたバイスタンダー効果は遺伝的不安定性を誘導するが、その遺伝的不安定性の維持には、個々の細胞レベルで照射されヒストンH2AXのリン酸化が起きることによって生じたクロマチン構造変化が関与している可能性を発見した。
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