研究概要 |
高圧水中ウォータージェット(WJ)により生ずるキャビテーションを利用した汚染土壌の無害化処理法の有効性を評価することを目的として,本年度は高圧水中WJ汚染土壌浄化試験装置の開発を行った.開発した試験装置の概要は以下のとおりである. 試験装置は,主に,薬液タンク,現有の高圧水ポンプ,浄化試験用圧力容器,耐圧サイクロン式沈殿槽,キャビテーション観察用アクリル製圧力容器および計測機器で構成されている.流路での汚染を防ぐために,高圧水配管および圧力容器はSUS316製とし,高圧ホースはテフロン製の内壁のものを用いた.薬液タンクの容量は200lであり,タンク底面をポンプの吸込口よりも上部に設置した.薬液タンクと高圧水ポンプおよび圧力容器の経路上には,試料採取用の弁が複数設けられている.圧力容器は,内径50mmであり,3MPaの耐圧を有し,圧力容器内で流れが滞留しないよう,圧力容器隅角で渦が生じにくい構造とした.WJノズルにはキャビテーションの発生を促進するホーン型キャビジェットノズルを用いた.WJノズルは圧力容器底部に設置され,WJは上向きに噴射される.キャビテーション観察用のアクリル製圧力容器には,内部にガラス管を設置し,キャビテーションによる損傷を防いだ.吐出圧力および圧力容器内の圧力は,ひずみゲージ式圧力変換器により計測され,圧力容器内の温度は,測温抵抗体により計測される. 来年度は,開発した試験装置を用いて高圧水中キャビテーションの汚染物質の分解能ならびに汚染土壌の洗浄能を実験的に明らかにする.得られた結果より,高圧水中キャビテーションによる有機化合物の分解プロセスと分解メカニズムを明らかにし,水中WJを用いた汚染土壌の高速大容量浄化システムを提案する.
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