研究課題
本年は、昨年度に見いだした新物質(ムチン)についての構造解析を引き続きおこなっている。ミズクラゲから採取した新物質を、イオンクロマトグラフィー、疎水クロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィーの3種類を用いて、精製った。その結果、イオンクロマトグラフィーは分取に適し、他の2つの方法は、不純物の同定に適していることがわかった。一方、糖鎖を脱離させたのちにアミノ酸配列を解析したところ、明らかに糖鎖がトレオニン残基に接続していることがわかった。この糖鎖構造を解析するために、この精製した後の試料について2次元NMR解析もおこなった。このような高分子糖タンパク質のNMR解析が可能であった例はきわめて少ない。緩和の速い糖鎖分子のプロトンに対して、同じく緩和の速いトレオニン残基のメチル基プロトンを相関させる新しいテクニックを用いて、確かに糖鎖がトレオニン残基に接続しており、その1つ目の糖鎖がN-アセチルガラクトサミン(GalNAc)であることが明らかになった。また、その糖に接続する2番目の糖はほとんど存在せず、8-9割がGalNAcであると結論づけられた。これは蛍光ラベル化法を用いて分析した加水分解後の構成糖組成の結果とよく一致した。すなわち、クロマトグラフィーで精製するに従って、構成糖はGalNAcがほとんどになる。(一部Galが存在する)しかし精製前の試料にはその他の多種多様な糖が存在することが見いだされている。このことは、ムチンにコンタミネーションしたオリゴ糖などを除去することが困難で、ムチンの精製が極端に困難であることを示している。
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