我々はこれまでにシリコンウエハ上に銀などの微粒子を置換めっき法で析出させ、フッ酸と過酸化水素の混合液に浸すことにより、直径100nm程度の細孔が形成されるという新現象を発見していた。その詳細を解明することを目指し、次の成果を得た。 (1)銀粒子を触媒として用いた場合には、<100>方向に選択的に細孔が形成される。 (2)上記のことより、(100)面のウエハに処理を施すと、表面から垂直方向に細孔が形成される。しかし、ウエハの表面近くでは、<100>方向と等価な、表面に水平方向にも細孔の形成が見られる。 (3)30分の処理で約40ミクロンの深さの細孔形成が可能である。細孔が形成される速度は、細孔が深くなるほど遅くなるが、10時間の処理によって600ミクロンのウエハを貫通する細孔の形成が可能である。 (4)形成される細孔の先端には銀粒子が存在することから、銀とシリコンの接触界面で溶解反応が進行し、細孔が形成されると判断される。なお、金属粒子が存在しない場合には、同じ液で処理を施してもほとんど何の変化も生じない。 (5)銀以外の貴金属粒子を触媒としても、それぞれの種類による特徴が現れるが、いずれも細孔形成が見られる。 (6)白金粒子を触媒とすると、深い細孔形成とともに、顕著なマイクロポーラス層の形成が見られる。 (7)白金粒子を触媒とし、その後の処理液の濃度を調整すると、マイクロポーラス層の形成が抑制される。そのような条件では、深い螺旋孔が形成されるようになる。螺旋のピッチおよび経は白金粒子の形状に依存すると判断される。
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