単一光子光源は次代の量子情報処理技術に不可欠なデバイスである。本研究は半導体中に規則的に配置した単一原子を光ナノ共振器に閉じ込めることによって自然放出光を制御し、"識別できない量子粒子"として単一光子パルスを引き出すことを目的にしている。本年度は以下の2点について明らかにした。 原子レベルで制御したエピタキシャル成長 分子線エピタキシー技術を駆使して、原子レベルで制御した活性原子状窒素をGaAs(001)表面に照射し、窒素原子を1原子層以下で2次元規則配列させる技術を開発した。具体的には以下の通りである: ●窒化プロセスを制御するためにRHEED観察技術を導入し、結晶成長その場観察による窒素取り込み過程の追跡を可能にした。 ●基板温度による窒素安定化面(3x3)の2次元窒素原子密度を制御できた。 ●規則的な窒素原子の取り込みを実現するためには結合に関わる短距離状態を制御する必要がある。そのために、窒化の条件と窒素取り込みサイトの密度の関係を明らかにした。 光応答特性評価とデバイス構造設計 ●2次元面内の窒化による取り込みサイトの制御特定に成功した。 ●原子状窒素に束縛された励起子状態を磁気光学特性と時間分解発光測定より明らかにした。 ●窒素単一原子からの発光をキャッチし、その局在電子状態を詳しく調べ、発光中心の窒素原子の配置を偏光フォトルミネッセンス測定より明らかにした。
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