研究課題/領域番号 |
17651073
|
研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
樋口 恒彦 名古屋市立大学, 大学院薬学研究科, 教授 (50173159)
|
研究分担者 |
梅澤 直樹 名古屋市立大学, 大学院薬学研究科, 講師 (40347422)
|
キーワード | DNA / PCR / information / car / paint / nanoparticle / sequence / identification |
研究概要 |
自動車を初めとする工業製品は、盗難や製品の関わる事件などが起きた時に、当該物を特定できる情報がすぐに得られれば迅速な解決につながる。製品へ付加する除去困難な個別認証情報として増幅容易で配列決定も自動化できるDNAを利用することとし、基礎的な検討を行った。 まず、DNAの設計は次のように、中央部分は所有者を特定するための情報対応部分で、その両側にはPCRによる増幅を可能にするためにプライマー対応部位を設けた。中央部分を15塩基数、プライマー対応部分を12あるいは18塩基として化学合成を行った。合成したDNAは、粒径50nm以下の入手した超微粒子(酸化亜鉛あるいはシリカコートの酸化亜鉛)に物理吸着させた。まずはじめは、DNAを含有する微粒子からDNAを抽出し、それをプライマーとDNAポリメラーゼを使ってPCRにより増幅を行った。その結果、プライマー対応部分が12塩基では増幅率が低く、低濃度からの検出に適さなかったが、18塩基にすることで期待通り十分な増幅が行えることが明らかになった。DNAを吸着させた超微粒子に熱負荷をかけ、100℃5週間の条件に置いたものからDNAを抽出し、PCRにより増幅を行ったところ、DNAは減少してはいたものの十分検出可能であった。さらに自動車の塗料に混合し、鉄板に実際の塗装を行い、140℃20分の重合処理を行って、塗膜化したものを作成した。この塗膜から様々な条件でDNAの抽出を検討した結果、塩基性の加熱条件で抽出し、増幅することによって検出できたことを確認した。また、増幅した51塩基のDNAの配列解読は、通常の解読より短いものの検討になったが、シーケンサーを用いることにより途中の配列からの解読が可能であることも明らかにした。
|