研究概要 |
カーボンナノチューブの成長方向・量を制御する要因として,電界の方向のほかに,ガスの流れ方向および流速が考えられる。望ましい位置にカーボンナノチューブを成長させる方法の一つとして,MEMS微細構造を利用した流れ制御が有効であると考えられる。シリコン基板上に微細流路をつくり,流路幅の変化によって流速を制御し,カーボンナノチューブ成長量と流速の関係を調べた。その結果,流速が早いほど,カーボンナノチューブの成長は活発になるが,流路壁面に成長するナノチューブの成長方向とガス流れ方向の間には顕著な相関がないことが明らかになった。 ここでは,通常の流体と希薄気体と境界にあたる流れ条件を与える反応管内で実験を行った。ここで,反応ガスの圧力を下げ,希薄気体としての仮定が成立する条件で反応を行なえば,壁面におけるすべりが生じるため,ガス方向とナノチューブ成長方向との間の関係が観察されるようになる可能性がある。 また,カーボンナノチューブ成長をリアルタイムで計測するための微小カンチレバーを製作し,反応炉をピエゾアクチュエータによって外部から加振することによって内部のカンチレバーの振動の周波数応答を計測することができた。これにより,カンチレバー自体に静電アクチュエータなどの駆動方法を集積することなく計測環境が得られることがわかった。これにより,製作可能なカンチレバー特性の自由度が大幅に増し,様々なカーボンナノチューブの成長条件に適したカンチレバーを製作することができる。
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