研究概要 |
本研究では,各種の災害のリスクを統合化して「マルチハザードリスク」として捉え,これらのリスクに晒されている人口(リスク曝露人口)を定量化し相対比較することにより,地域の潜在的なマルチハザードリスクの特性を理解することを目的とする.各地の潜在的なマルチハザードリスクと現状の地域防災力を比較することにより,地域の実情に適した地域防災力の補完・増強方法の検討を目指す. 本年度は,(1)マルチハザードリスクに対する曝露人口の評価,(2)マルチハザードリスクから見た地域特性の評価,(3)地域特性に適した防災体制の検討,について,下記の研究を実施した. <(1)マルチハザードリスクに対する曝露人口の評価> 過去のマルチハザードによる被害統計,メッシュ統計による人口データおよび地震被害想定による地震動分布・活断層マップ・洪水ハザードマップ・火山ハザードマップ・地すべり地形マップ等のマルチハザードリスクに関連したマップやデータを収集した.東海・東南海・南海地震などの海溝型地震については,中央防災会議公表の被害想定による想定震度分布をメッシュごとに整理し,都道府県ごとの地震リスクを分析した. <(2)マルチハザードリスクから見た地域特性の評価> 過去25年間における風水害・水害・山崩れ・地震・火山・雪氷害等の自然現象の発生傾向と被害統計の関係から,都道府県別の潜在的災害リスク特性を分析した.自然現象である外力が著しく大きいにも関わらず被害率(=被害量/人口)が小さい場合は,地域の防災力や災害対応力が大きいと考えられる.理科年表からわかる外力と被害統計の相関を分析することにより,このような地域の防災力を比較した. <(3)地域特性に適した防災体制の検討> (2)での分析から示唆された地域の防災力を検証するため,現行の地域の防災施設や災害対応力に関するデータを収集した.現行の防災力と地域の災害脆弱性を把握することにより,来年度は今後の地域防災体制の課題を検討することができると考える.
|