研究課題/領域番号 |
17651101
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
多田 卓 東京理科大学, 工学部, 助手 (40349840)
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研究分担者 |
篠崎 祐三 東京理科大学, 工学部, 教授 (80026236)
長 郁夫 (独)産業技術総合研究所, 地質情報研究部門, 研究員 (10328560)
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キーワード | 常時微動 / 地盤探査 / アレイ観測 / 表面波 / レイリー波 / ラブ波 |
研究概要 |
常時微動とは、波浪・大気擾乱などの自然現象や交通・機械振動などの人間活動によって地震時以外にもつねに生じている地盤の微小な振動のことをいい、微動探査法とは、地表面で得られた常時微動記録の解析を通じて、地盤を伝わる表面波の特性を評価するために用いられるさまざまな手法の総称である。微動探査の有力手法の一つとして知られる「空間自己相関法(SPAC法)」は、円周上の等間隔の数点および中心点に地震計を設置して常時微動の同時測定(アレイ観測)を行い、その記録の解析から、地盤を伝わる表面波(レイリー波およびラブ波)の位相速度分散曲線を推定するものである。 本研究ではSPAC法の考え方に秘められた潜在的発展性の高さに着目し、SPAC法に関する既存の諸理論を整理して統一的な枠組みで記述するとともに、これを拡張・一般化し、きわめて普遍性の高い、新しい微動探査法理論の枠組みを構築した。この一般理論によれば、円形アレイを用いた微動探査法としてはSPAC法以外にも、さらに多種多様な解析手法が実用化できる可能性がある。 今年度はその中でも、一つの円周上に置いた地震計の記録だけからレイリー波位相速度を推定する「中心なし円形アレイ法(CCA法)」、および二重同心円上に置いた地震計の記録からラブ波位相速度を推定する「二重半径法」の潜在的可能性に注目し、数値実験および実データ解析を通じた実用性の検討を集中的に行った。またCCA法の理論的確立に資するため、平成17年8月に茨城県つくば市において大規模な野外微動観測を実施した。このときに得られた記録を解析する過程で、長波長側におけるCCA法の位相速度推定精度を微動データ中に含まれるノイズの相対パワー比と定量的に関連づけることのできる、独創的な理論的枠組みを考案することができた。
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