研究概要 |
Leeらの方法(1971)に従い、蛋白質の各部分構造ユニット単位で溶媒接触表面積(ASA)を計算するプログラム(CalcASA)を作成した。木下らのグループにより作成されたClassPPIデータセット(蛋白質のフォールディング別に代表構造を抽出したホモ二量体の構造セット)を用いて、DSSPとCalcASAで計算した溶媒露出表面積(ASA)を比較した。401組のサブユニット対について、単量体のみのASA値、二量体全体のASA値、2つのASA値の差を計算したΔASA値を計算し、各々の平均値を比較したところ、これらの平均値の差はそれぞれ0.01%,0.01%,0.05%であった。このことから、会合表面を検出する目的においてはDSSPおよびCalcASAのいずれのプログラムを用いても結果にほぼ差がないと考えられたため、以後の溶媒接触表面積計算にはCalcASAを使用することにした。 次にCalcASAとClassPPIのデータセットを用いて会合面の定義によるASA値の相違を比較し、単量体と二量体でのASA値の差により会合面を検出(ΔASA法)し、解析をおこなった。ClassPPIで分類された5つのカテゴリ別にClassPPIでの会合表面とΔASA法による会合表面の面積値を比較したところ、どのカテゴリにおいてもΔASA法による値はClassPPI法による値のおよそ2倍の値を示した。アミノ酸の出現頻度についてはサブユニット全体と会合面のどちらでも同様の傾向が見られる残基が多かったが、ロイシンが会合表面に多く、トリプトファンが少ない傾向が見られた。
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