CalcASAにより検出した会合表面部位のアミノ酸原子座標をもとに、Qhu11により会合空間領域を多面体として定義した。この空間のうち、蛋白質外部にある空間の体積を算出するプログラムを作成した。このプログラムを用いて下記の解析を行った。 前年度はClassPPIのデータセットについてサブユニット間空間の解析を行ったが、ClassPPIデータセットでは収録データが必ずしも二量体ではないことが判明した。三量体以上の構造が含まれている場合、解析結果にバイアスがかかることが考えられるため、二量体に限定した構造データセットを選択する必要があった。Ponstinglらのデータセット(2000)はホモ二量体がPDB番号とともに明示されているため、このデータセットを採用した。Ponstinglらのデータセットのうちホモ二量体の蛋白質構造(76件)を抽出し、現在PDBに含まれている全てのエントリ構造についてマニュアル作業でPDBファイルをもとに結晶構造を再構築し、ホモ二量体構造を作成した。この結果、Ponstinglらのデータセットのうち5件はマニュアル確認作業でbiological unitの判別ができなかった。天然二量体構造として判別できた69件の構造に対して、昨年度および本年度開発したプログラムを用いて、会合部位面積(ΔASA)と蛋白質会合空間(ASV)の体積を計算したところ、ASV/ΔASA比(会合表面間平均距離に対応する)は蛋白質の会合部位面積、フォールドを問わずほぼ一定の値になることが判明した。
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