研究概要 |
モデル実験系(blue or white colony形成plasmid)とマウスcDNA libraryを用いた迅速クローニング法の高速化の検討 1)ブリッジヌクレオチド法で回収されたDNA plasmidの高温・再ハイブリによる回収効率上昇の検討 これまでのPCR法等によるDNA解析で、ブリッジヌクレオチド法で回収したDNA中にはそのままでは大腸菌に直接導入しても増殖できない断片化した目的遺伝子が多く含まれていることが判明している。その量は、大腸菌に直接回収できる無傷のDNA plasmidの数十倍から数百倍はブリッジヌクレオチド法で抽出したDNAサンプル中に存在する。今回はこの一部切れていたり断片化したりしている目的遺伝子をすべて回収することで、神迅速クローニング効率を飛躍的に上げることを検討した。 その結果、ブリッジヌクレオチド法で回収したDNAサンプルを、NaCl濃度100mM前後で98℃・10秒処理、その後1℃/2分の速度で25℃までゆっくり温度を下げていくことで、これまでの5倍から20倍多く大腸菌に導入可能な環状二本鎖DNAへ再構成され、クローニングされてくることが判明した。これにより、(1)従来よりもさらに高効率でクローニングが可能になったこと、(2)これまでのブリッジヌクレオチド法では使用するDNA library中の無傷のDNAの割合が非常に高くないと成功しなかったが、今回の「高温再ハイブリ法」の成功で、市販のDNA libraryからでも直接ブリッジヌクレオチド法で迅速にクローニングを行うことが可能となった。 2)ブリッジヌクレオチド法・高温再ハイブリ法のマウスcDNA libraryへの実際的適応 ブリッジヌクレオチド法でもこれまでクローニングが困難であった遺伝子のクローニングを迅速に実現できるかどうかをテストするために、マウス精巣cDNA libraryから、izumo, fertilin遺伝子など受精関連遺伝子のクローニングを行ったところ、すべて30〜80%の非常に高効率でクローニングできた。 今度の問題としては、再ハイブリによってクローニングされた目的遺伝子が本当に正常な遺伝子塩基配列上正常な形状かどうかを検討する必要がある。
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