研究課題/領域番号 |
17651132
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
門司 和彦 長崎大学, 熱帯医学研究所, 教授 (80166321)
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研究分担者 |
金田 英子 長崎大学, 熱帯医学研究所, 助手 (10253626)
中澤 秀介 長崎大学, 熱帯医学研究所, 助手 (20180268)
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キーワード | 人口転換 / 健康転換 / TFR(合計特殊出生率) / ラオス / ベトナム / マラリア |
研究概要 |
ラオス中部サバナケット県ソンコン郡ラハナム地区において継続的な人口・健康モニタリングシステムDSSを確立し、人口学的な指標を算出した。地区の6村のうちバンヒエン川沿いにある5村は人口の8%を占めるプータイPoutaiが主に居住し、郡都に近いベンカムライにはラオスの53%を占める主要民族であるラオ族が居住している。どちらも「低地ラオ」に分類され、我々からは区別が難しい。地区の総人口は4400名であった。出生については、一人当たりの女性の産む子供数(合計特殊出生率TFR)3.1であり、出産は20-24歳をピークに30歳代前半までに集中していた。1995年、2000年のラオス全体のTFRがそれぞれ5.6、4.9であることを考えると、かなり当地区では少子化が先行していた。一方租死亡率が人口1000対7と計算され、死亡率が低いか、まだDSSの精度が悪いかである。若者以降の死亡はかなり正確に把握されており、老齢が約3割、肝癌が約2割と報告された。人口の把握が難しいのは20歳代の男女を中心に300名近くがタイに出稼ぎに行っているためであった。これらの出稼ぎ者がもち返る情報と価値観が青少年、子供に大きく影響し、人口転換・健康転換・栄養転換を促進させていた。一方、ベトナムの少数民族調査地では2004年にはマラリア感染が非常に多かったが、2005年度には大幅に少なくなっていた。これは偶然の変動か、あるいは着実な減少なのかを今後確認する必要がある。2004年度に小学生を6週間にわたって調査した際にアルテスネート・コンビネーション治療を実施したが、その影響があったかも今後追跡していく予定である。(697字)
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