研究課題/領域番号 |
17651133
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
赤嶺 淳 名古屋市立大学, 大学院人間文化研究科, 助教授 (90336701)
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研究分担者 |
長津 一史 京都大学, 大学院・アジアアフリカ地域研究研究科, 助手 (20324676)
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キーワード | CITES / 地域環境主義 / 政治生態学 / 特殊海産物 / コモンズ / 資源管理 / 生態史 / 生態資源 |
研究概要 |
本研究の目的は、近年、絶滅の危機に瀕しているとして、ワシントン条約(CITES)により国際貿易の制限が検討されているナマコの資源管理について、(i)ワシントン条約による貿易規制の問題点を分析するとともに、(ii)流通業者・生産者間の重層的な社会経済的関係にみられる歴史性を検討しながら、(iii)資源管理における流通業者の役割を評価し、資源管理方法のあらたな枠組みの設計をおこなうことにある。初年度にあたる今年度、以下のような研究をおこなった。 研究代表者の赤嶺は、日本語で著された地球環境主義と生活環境主義、政治生態学(political ecology)に関する文献資料を収集するとともに、タイのバンコクで干ナマコの流通事情と資源管理に関する実態調査とその史的変遷についてのフィールドワークをおこない、30種ほど流通する熱帯種のうち、バンコクにおいては烏参と漢語表記されるHolothuria nobilisの需要がもっとも高いことをあきらかにし、一律的な貿易規制では資源管理がうまく機能しえないことを指摘した。 研究分担者の長津は、マレーシアとシンガポールで刊行された地球環境主義と政治生態学、ならびにマレーシアにおける少数民族政策に関する文献資料を収集するとともに、マレーシアのサバ州においてサマ人の資源利用についてのフィールドワークをおこない、地球環境主義を支持するNGOらの活動がたかまるにつれ、サマ人らの生活様式に変化がみられつつあることを確認した。 研究協力者のシドニーチャン(香港中文大学・準教授)は、中華人民共和国広東省広州市の一徳路に集中する乾燥海産物の問屋らのフィールドワークから、香港南北行-広州市一徳路間の貿易ネットワークの現状とその史的変遷について概要をあきらかにした。また、香港における乾燥海産物貿易史についての文献調査にも着手し、南北行の歴史がタイとの米貿易の発展史と無関係ではありえないことを指摘した。
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