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2006 年度 実績報告書

定着性沿岸資源管理をめぐる政治性と当事者性の地域間比較研究

研究課題

研究課題/領域番号 17651133
研究機関名古屋市立大学

研究代表者

赤嶺 淳  名古屋市立大学, 大学院人間文化研究科, 助教授 (90336701)

研究分担者 長津 一史  東洋大学, 社会学部, 助教授 (20324676)
キーワードコモンズ / 環境主義 / 当事者性 / 国際政治 / 跨境活動 / 環境NGO / オープン・アクセス / 分化多様性
研究概要

地球上のさまざまな地域で定着性沿岸資源のおおくは、これまで地域社会による固有ルールによって共同資源管理がなされてきた。しかし、市場圧力はもとより、生態環境の悪化、過疎化や高齢化などの要因から地域による共同管理の枠組みがうまく機能していていないケースもみうけられる。他方、生物多様性保全への国際的な関心のたかまりから、非当事者である人びとが、地先資源の管理についても発言権をましているのが、現実である。
たしかに1970年代以降の環境主義の時代において生物多様性の保全を目的とした資源利用への規制は、説得力をもつようにみえる。それは、生物多様性の恩恵を享受するのが「人類」であるからである。しかし、問題は、抽象的な人類ではなく、個別文化をせおった人びとが、ひとしく生物資源の多様性の恵みをあずかることができるような社会システムが存在していない点にある。
本研究では、上記の視野にたち、沿岸資源の代表として近年、中国で消費が拡大している干ナマコに着目し、東南アジア、日本、香港、中国におけるフィールドワークから、国境をこえた生産者や流通業者、消費者といった資源利用者らを「当事者」ととらえ、それぞれのアクターが、資源利用に関して、どのような認識をもち、どのような実践をおこなっているか、それぞれのアクターをむすぶノードの実態をあきらかにした。
とくに、従来は商業機密により、香港を中心とする流通ネットワークについては、詳細が把握されていなかったが、本調査により、香港の乾燥海産物輸出入組合が、定着性沿岸資源の持続的利用を意識し、世界の取引先をまきこみ、漁業者らへの資源管理の必要性をうったえていることが明らかになったことは、本研究の大きな成果のひとつである。今後は、香港を中心としたこれらの流通ネットワークの史的発展をふまえた詳細な検討が必要である。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2007 2006

すべて 雑誌論文 (6件)

  • [雑誌論文] ナマコの国際市場と流通の実態2007

    • 著者名/発表者名
      赤嶺 淳
    • 雑誌名

      平成18年度「育てる漁業研究会」-ナマコ資源管理の問題点(北海道栽培漁業振興公社)

      ページ: 1-12

  • [雑誌論文] サマ・地域資源の利用と環境問題2007

    • 著者名/発表者名
      赤嶺 淳
    • 雑誌名

      失われる文化・失われるアイデンティティ(綾部恒雄編)(弘文堂)

      ページ: 285-305

  • [雑誌論文] 同時代をみつめる眼-鶴見良行の辺境学とナマコ学2006

    • 著者名/発表者名
      赤嶺 淳
    • 雑誌名

      ビオストーリー 6

      ページ: 50-59

  • [雑誌論文] 「テロとの戦い」のかげで-フィリピンのムスリム問題のいま2006

    • 著者名/発表者名
      赤嶺 淳
    • 雑誌名

      人間文化研究所年報 (創刊号)

      ページ: 36-39

  • [雑誌論文] 当事者はだれか-ナマコ資源利用から考える2006

    • 著者名/発表者名
      赤嶺 淳
    • 雑誌名

      コモンズをささえるしくみ-レジティマシーの環境社会学(宮内泰介編)(新曜社)

      ページ: 174-197

  • [雑誌論文] ダイナマイト漁の政治生態誌2006

    • 著者名/発表者名
      赤嶺 淳
    • 雑誌名

      地域研究の課題と方法-アジア・アフリカ社会研究入門・実証編(北川隆吉監修)(文化書房博文社)

      ページ: 233-250

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公開日: 2008-05-08   更新日: 2016-04-21  

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