研究課題/領域番号 |
17652001
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
中戸川 孝治 北海道大学, 大学院・文学研究科, 教授 (20237316)
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研究分担者 |
内山 智 北星学園大学, 短期大学部, 助教授 (10299737)
上野 岳史 酪農学園大学, 酪農学部, 講師
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キーワード | フル・ランベック計算 / クオンターレ部分代数 / 加法的選言の導入規則 |
研究概要 |
部分構造論理の命題と論理演算がどの様な意味を持つか、意味論の構築にむけて量子力学の基礎からアプローチするとき、出発点となるところは、状態、観測可能性、観測値、などの物理的内容が、ヒルベルト空間内のベクトル、可換性、エルミート行列、などによりどのように表現されているか、確認することである。次に、射影作用素(観測命題ともいう)を抽象化したC^*-代数の部分代数であるクオンターレと部分構造論理FLeの対応をとおして、出発点にあった物理的内容が、部分構造論理の命題と論理演算にどのように反映されているか、探りをいれることになる。 このように部分構造論理と量子力学の基礎のつながりを把握したうえで、C^*-代数の閉右側イデアルの全体のなす束はクオンターレになる、というMulbeyによる先行研究を(M.ストーンの定理を原型にする)表現定理として理解することができた。証明図を「前提の入力データを結論の出力データに変換する装置」として考えるGirald等は、データをベクトルで表わすと、この装置はベクトルをベクトルに写すある種の作用素とみなしていることになる。 さらに、先行研究の一つである、Yetterが巡回的可換法則に制限された非可換線形論理に対し与えたクオンターレ・モデルに関して、われわれは、NFLの証明図の各枝の先端にある除去されていない仮定のうち左端と右端にある仮定(と両端に至る証明枝)のみの交換は、許容されないことを指摘することができた。 可換性は観測可能性を意味するが、観測可能性は、必ずしも、存在可能性を意味するものではない、という小沢正直氏の2005年の結果を踏まえたうえで、観測の経路を含めての非可換性の物理的意味がさらに探求すべき課題となる。
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