1.これまで、ヨーロッパにおいて坐禅の修行・指導に関わってきたキリスト教的背景の人々の著作・論文・ホームページ等、網羅的に読んだ。その中には、若干の曹洞宗・臨済宗の人々があるが、多くが宗教法人・三宝教団の系列の人々であった。また、その中に現れている実態として確認できることは、坐禅を志す人々の底辺の広がりと、持続的な希求心である。日本にはこの次元までの坐禅への需要があるとは思えず、ヨーロッパでは日本とは相当に異なる精神状況が存しているものと想定できる。 2.2005年夏に、主としてドイツの禅道場(オーホーフ、ドレスデン、ミュンヘン・ヴァイヤルン)を訪ね、数十人の人々と対話し、彼らを観察し、その坐禅の志のあり様を探った。現状のキリスト教への不満ないし危機意識は共通していたと言える。 3.ヨーロッパの禅道場に通う人たちに質問する項目を載せたアンケート紙を作成した(職業、年齢、坐禅歴、坐禅教師名、さらには宗教上の自称(カトリック、プロテスタント、無宗教)、および坐禅がこれまで被質問者の「神観」「キリスト観」「聖霊観」「教会観」に及ぼした影響を筆記させる)。それを上記2.の際のインタヴューに使用、更にはその他の人々に広く記入を間接的にお願いし、Eメール、ファックス、郵便で回収することを秋から始めた。その一部の傾向は、「森集会」という聖書思想史研究会の機関誌『森』に発表した。現在ほぼ回収が一段落したが、200名ほどの声が集まった。2006年度はその集積と分析、そして評価に時間を投入する。 4.この研究を重要な部分として位置づけるところの、『禅キリスト教の誕生へ』という著作(出版社と交渉済み)の準備を開始、2007年前半の出版を目指している。
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