研究概要 |
平成17年度は、「現象学とリズム性」をテーマに研究を進め、「リズム性」の概念を厳密に規定することを目指し、以下の研究を行った。 1.現象学的方法論に基づいてこの概念をどのように論じられるかを主題的に研究した。デリダ、シェレル、木村敏、ドゥルーズらの研究成果を検討し、同時に広い意味で現象学的な方法を採る芸術論、音楽美学などに関する著作を収集し、徹底した検証を行った。 2.その成果を踏まえ、「研究発表」欄の業績の他、以下の口頭発表を行った。 1)≪Hospitalite et politique : la pensee de l'im-possible de Jacques Derrida≫(Colloque international-"Ecritures, pensees et communaute - de 1945 a 1968 en France -")(organise par l'equipe de recherche C.S.C.(Universite de Tsukuba) et la Maison Franco-Japonaise de Tokyo), Maison Franco-Japonaise, Samedi 3 decembre 2005.(筑波大学「比較 市民社会・国家・文化特別プロジェクト」および日仏会館主催)、2005年、日仏会館。 2)「鏡像のメタモルフォーズ」(日本独文学会 第59回総会春季研究発表会、シンポジウム「纏う、あるいは、<本質>から遠く離れて」)、2005年,早稲田大学。 1)においては、デリダが「不可能な歓待の可能性」と呼ぶものを検証することによって、「歓待」が市民社会の社会的紐帯に一定のリズム性を付与するものであることが示された。 2)においては、視覚的なパースペクティヴの問題が、芸術におけるリズム性の問題へと深められる過程が検証された。 以上の発表は、2006年度以降に論文として、共著に収められて出版される予定である。
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