平成18年度は、主に3つの小テーマについて研究を行った。第一は、本研究の課題である「近代日本の帝国美術ネットワーク」の全体像を明らかにする研究である。その成果は、論文「日本の帝国美術ネットワークと地方色論」としてまとめ、平成18年夏に入稿したが、残念ながら発行元の国立台湾美術館の都合で、出版が著しく遅延している。 第二は、工芸の面から近代日本美術と植民地との関係を明らかにする研究である。その成果は、論文「近代日本工芸と植民地」として、稲賀繁美編『伝統工藝再考--京のうちそと』の一部として、思文閣出版からまもなく刊行予定である。 第三は、日本画家橋本関雪の研究である。関雪は近代日本の画家で、最も頻繁にアジア旅行を行った画家であるが、その本格的評伝がまだ存在していない。既に調査及び執筆の大半を終了した。その成果は、『評伝橋本関雪』として、平成19年度中にミネルヴァ書房より出版する予定である。
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