研究概要 |
今年度は、まず研究計画に従って、18世紀イギリスにおけるアフリカ系作家と奴隷制度の全体像を把握するため、資料収集を行った。一次資料の代表的なものとして、The British Transatlantic Slave Trade (4 vols. Pickering and Chatto, 2003)およびSlavery, Abolition and Emancipation (8 vols. Pickering and Chatto, 1999)など、18世紀の奴隷制度問題を網羅的に集成したアンソロジーがあげられる(ただし、後者については、今年度の予算内で全巻入手できなかったので、来年度継続して収集する)。また、二次資料として、Debbie Lee, Slavery and the Romantic Imagination (Philadelphia : U of Pennsylvania P, 2002)やBrycchan Carey, British Abolitionism and the Rhetoric of Sensibility : Writing, Sentiment, and Slavery, 1760-1807 (Basingstoke : Palgrave Macmillan, 2005)など、比較的新しく、文学と奴隷制度の問題を関連させて論じている文献を収集した。 モダン・エディションで入手困難な文献の調査に関しては、連合王国の大英図書館へ赴いて行った。今年度は主にIgnatius Sanchoの資料調査を行ったが、期間内で調査が完了しなかったため、来年度以降も引きつづき行う。また、この期間内に、合わせてマイクロ・フィルムで入手可能な資料の調査も行ったので、来年度は国内の図書館等でも継続して調査を行う。 このようにして収集した資料を整理・分析した成果の一部は、『日本ジョンソン協会年報』および『中部アメリカ文学』において発表された。
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