研究概要 |
本研究は,ローカル放送局が制作するニュースや情報番組が,地域のイデオロギーの管理(形成・維持・再生産・強化など)にいかに関与しているかについて,ニュースの取りあげ方や伝え方などを,言語面を中心に,映像,音声の各側面を加えて分析する番組制作の質的側面と,番組全体の構成の中で地域のイデオロギーに関わる内容・要素が占める割合等に関する量的側面の両方から追求することをおもな目的としている。初年度の今年は,(1)国立国語研究所においてテレビ放送全般に関わる文献資料収集,(2)北星学園大学の高野照司助教授を招いて「言語変異と言語イデオロギー」研究会の開催,(3)鹿児島地域で放送されているニュース,情報番組等の録画データ収集,(4)インターネットによる他県の放送局との番組編成比較の予備調査を行った。 この研究の着想を得た2年前には,鹿児島ではローカル色の強い情報番組等がいくつか見られたが,研究に着手した今年度から,なぜかそのような番組が減ったようで,番組録画データの収集は難しくなっている。これまでの半年間にニュース等を録画したものを現在見返しているところだが,「地域」を強く前面に出した放送の数はあきらかに減っている。しかしながら,ニュースの内容などには,まだ地域を意識したものがあるようなので,そのような内容のデータを現在も増やしている。また,年度が改まって番組編成等も変わるので,今後番組の内容,構成にイデオロギー管理がどのように反映されるかもさらに追求する予定である。さらに,2,3年前から撮りためたビデオデータの解析も必要であれば行うつもりである。
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