研究課題/領域番号 |
17652056
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研究機関 | 国際大学 |
研究代表者 |
田丸 淑子 国際大学, 大学院国際関係学研究科, 教授 (40179891)
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研究分担者 |
竹内 明弘 国際大学, 講師 (60329331)
石田 敏子 早稲田大学, 大学院日本語教育研究科, 非常勤講師 (10052250)
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キーワード | 日本語教育 / プログラム評価 / 大学評価 / 評価基準 / 教育の質保証 / 啓蒙的評価 / アカウンタビリティー |
研究概要 |
2005年度の研究活動は、1)国内外の大学評価に関する文献から評価の問題点の洗い出し。2)英国の大学における研究評価ならびに教育評価システムに関する情報収集と関係者への聞き取り調査。3)豪州の大学の日本語教育関係者への聞き取り調査。4)国内大学の自己点検報告の調査および、日本語教育担当者からの意見聴取。 これらの調査活動から見えてきたこととして、以下が挙げられる。1)日本の大学評価では、実施する側もされる側も「評価」に対する共通概念が不在、または曖昧なままことが進められている。また、評価の目的についても共通認識を欠いている。2)日本の大学では、機関としても、各プログラムとしても「目的」という概念が希薄である。上記1)と2)はすでに10年前に文献で指摘されているにも拘らず、状況の改善は殆ど見られない。3)英国の大学評価は、研究評価と教育評価が明確に分離されているのが特徴であるが、優れている点として、(1)客観性、(2)全ての段階でのネット上での公開性、即ち、明文化された評価基準と尺度、プロセス、結果、評価に対する責任、(3)改善努力をも組み込んだ評価基準、等が挙げられる。問題点としては、(1)いわゆる「評価疲れ」、(2)研究偏重などが挙げられる。特に日本語教育プログラムの質保証に関しては、英国の伝統的なexternal examinerの制度が活かされていると見られるが、日英両国の社会・文化の違いを考えると、そのまま日本への応用は難しそうである。 今後の研究で取り上げる必要がある点は、1)どのような評価活動が教育の質向上に結びつくか。何が教師を教育の質向上に向かわせしめるか。2)アウトプットの評価をどうするか。3)自主的評価を促進するのであれば、評価に一般性を付与するスタンダードの存在が必要。4)「目的」「目標」の明文化の重視。5)「研究」と「教育」の適切なバランス。6)評価のための評価にならない工夫、等である。
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