本年度の研究実施結果は以下の通りである。 まず、英国の学校教育における非英語母語話者に対する言語教育政策に関する資料や文献を収集し、その整理と分析を行い、英国調査で明らかにすべき課題を絞った。その課題の一つ目は、EAL(English as an Additional Language)の定義と定着に至った経緯である。2つ目は、DfES(Department of Education and Skills;教育技能省)が掲げたSocial Inclusions政策におけるEAL教育の捉えられ方と教育現場の実態に相違がないかを探ることである。3つ目は、英国がethnic minorityの児童に対する教育に重点を置く理由とそのきっかけを明らかにすることである。そして4つ目は、現在英国で重点が置かれているThe National Literacy StrategiesにEAL教育がどのように取り込まれているのかということである。 上記課題を探るために、2006年2月20日から3月4日の期間において、英国で調査を行った。その調査では、DfESのEAL担当者、NALDIC(National Association for Language Development in the Curriculum)の代表者、バーミンガム大学のバイリンガリズム教育の専門家、ロンドン大学のLiteracy教育専門家、イスリントンの教育局のエスニック・マイノリティ教育専門家に聞き取り調査を実施した。さらにロンドンのイスリントン、バーミンガム、エクセターの小学校を視察し、校長、EAL教員、Teaching Assistant、担任教師やEALの子供に対する聞き取り調査を実施した。
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