まず、今年度は昨年度の研究結果をまとめ、「英国学校教育におけるESL教育の現状と課題」というテーマで第27回異文化間教育学会において口頭発表を行った。 そして、昨年度の調査結果をもとに、本年度は言語教育政策の中でも特にThe National Literacy Strategy(以降、NLS)に着目し、特にEAL(English as an Additional Language)の教育アプローチについて分析を進めた。 英国調査では、NLSの報告書をまとめたロンドン大学教育研究所のBeard教授(初等学校教育専門)へのインタビューを実施した。また、昨年度初等学校視察に続き、中等学校(Plumstead Manor Schoolグリニッジ)におけるリテラシー教育の現場を観察し、学校全体の取り組みについて学んだ。 エスニック・マイノリティの児童・生徒の言語教育については、Greenwich Councilのエスニック・マイノリティー・アチーブメントの担当者であるClay氏へのインタビューを行い、地方当局の政策面での具体的な話を聞くことができた。また、グリニッジ大学のGravene氏とEAL教育について歴史的な言語教育意識の流れやDfES(教育技能省)の打ち出す言語教育政策の課題について意見交換を行った。 EAL教育に関する教員養成については、バーミンガム大学教育学部とロンドン大学教育研究所がDfESの援助を受けながら、現職教員対象のプログラムを提供している。今回の調査では、両機関のコーディネータからプログラム開設についての経緯、及び現状と課題について話を伺うことができた。 さらにCILT(言語教育センター)において外国語教育政策の動向、Ofsted(教育水準局)において外国人児童・生徒の教育に対する評価基準やinspectorの研修内容について知見を得た。
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