本研究の目的は、リスニングタスクにおけるマテリアルのスピードがリスニング能力の伸びに与える影響を調べることであり、特に、通常のスピードより速い速度のインプットによる「速聴」の効果の検証が主たる目的である。 平成17年度においては、速度調整されたリスニング学習用マテリアルの作成と修正を行った。マテリアルは、1)事前のリスニング能力把握のためのプレテスト、2)トレーニング用教材、3)事後のリスニング能力把握のためのポストテスト、4)アンケート、からなる。中心となる2)は、(1)150wpm、(2)300wpm、(3)450wpmを基本とし、それぞれを別個の被験者を対象に用いるが、(2)のマテリアルにおいては(1)のスピードを、(3)のマテリアルにおいては(1)と(2)のスピードを部分的に取り入れ、タスクに多様性を持たせるとともに、学習の達成感と継続への意欲が得られるように工夫した。スピード調整においては、a)音声編集ソフトウェアSound Forgeによる加工、b)マルチトラック・ハードディスクレコーダによるデジタル処理、C)スピード可変CDプレーヤーによる調整、を併用した。データの処理に当っては、研究補助員の協力を得た。また、東京学芸大学の学生を対象として予備調査を行い、難易度やタスクを調整し、上位レベルと中位レベルの被験者のためのマテリアルを作成した。これらの教材は、さらに、3つの用途-(1)週1回の授業時間に受講生を対象に実施するトレーニング用教材、(2)1週間の集中演習形式による授業の受講生を対象に実施するトレーニング用教材、(3)集中的な家庭学習への協力に応じた学生を対象とする教材-に応じて、分量・内容を調節した。 作成したマテリアルは、さらに改良の上、平成18年度において、集中演習授業、家庭学習、週1回の授業で使用し、他大学(4大学を予定)の学生の協力も得て、データを収集・分析する。
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