言語学の一環として(1)「アラビア語」、教養選択外国語として(2)「聖書ヘブライ語」の2つの外国語クラスに加え、本年度は新たに教養課程において(3)「中東の歴史と文化」を開講した。 「アラビア語」は学部開講のためか、限られた範囲で少数の受講者しかなく、受講の動機も明確なものではなかった。言語学習に終始し、言語教育を通してのイスラーム理解までには至らなかった。 「聖書ヘブライ語」の受講者は、言語を含めたユダヤ文化全般に対する関心が初めから高く、言語教育を主としながらも、ユダヤ理解のための素材を十分に取り込むことができ、一定の教育効果が見られた。この授業で用意した資料等は新たな教材開発につながるものとして期待される。 今年度開講した「中東の歴史と文化」は、受講者も多様で(全学部から約80名)、事前のアンケートでも中東への関心が高かった。世界史未履修問題に対応するため、中東の歴史、文化に関する入門的なビデオ、基礎資料を収集、活用した。更に、中東の言語の一例として授業の中に基礎的なアラビア語学習を取り入れてみた。事後のアンケ-トでは、異質な文字体系を実際に学ぶことによって、中東(特にイスラーム)という異文化がより身近なものになっているとが明らかになった。 本調査・研究から、できるだけ多様な受講者に中東という異文化を理解させるには、(1)教養課程で開講し、(2)異文化理解を主とし、言語教育を従とした方法が効果的であると言える。なお、この方法による授業実践は本科研終了後も引き続いて行い、教育効果を検証する予定である。
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