本研究は、人間の行動や意思決定にたいする法規範の影響を、主として実験経済学の理論・方法を用いながら考察するものである。そして、従来の法と経済学の理論の妥当性や改善すべき点を探ることが副次的な目的である。 3カ年の研究の最終年度である平成19年度は、(1)追加実験、(2)実験結果の分析、(3)学会での発表・報告の3つが予定されていた。3年で計6回のゲーム理論実験を行ったことになり、現在は成果をまとめている段階である。 (1)追加実験は平成20年2月に2度に分けて行われた(被験者は大学生で、それぞれ30名程度)。第1回は、いわゆる「調整ゲーム」を素材として、プレーヤーの金銭的利益に影響を及ぼさない名目的なサンクションが被験者の意思決定にどのような影響を与えるかが測定された。第2回目は「独裁者ゲーム」における名目的サンクションの効果や、サンクションのタイミングの影響を測定する目的で実施された。 (2)実験結果の分析結果を先行研究と照らし合わせ、その考察や結論を論文や学会発表で報告している。今も分析や議論は進行中である。 (3)成果の一部は日本心理学会(第71回大会、東洋大学)で報告した。また、平成20年度中に行われる学会や研究会でも順次報告がなされる予定である。
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