著作権が関連するソフトウェア開発の課題は、映画や音楽のエンターティンメント産業だけの問題ではない。医薬品産業にも関連がある。今、医薬品産業は、バイオ・インフォーマテックスなどによる遺伝子の機能解析のための研究開発費と著作権や特許権の集積を求めて、世界的に統合の時代に入っている。とりわけ、著作権が遺伝子解析のソフトウェア開発を保護しており、企業買収の目的が医薬関連のソフトウェア開発に強いベンチャー企業の買収を目的にしている。 日本の公正取引委員会の2004(平成14)年6月の合併ガイドラインは、著作権がかかわるソフトウェアの研究開発力を「効率性」として肯定的に評価し、同時に、同じソフトウェアの研究開発力を「総合的事業能力」として否定的に評価している。すなわち、医薬品産業の企業結合の場合、外国の巨大医薬会社(メガファーマ)が日本の有力なソフトウェア会社を買収するときに、メガファーマが、医薬関連ないしバイオ関連のソフトウェア開発を「効率性」をもって行う可能性(プラスの面)と、ソフトウェア開発を通じた「総合的な事業能力」をさらに高める懸念(マイナスの面)との評価項目になっている。これは矛盾しているだろうか。 検討の結果、ソフトウェア開発において、研究開発の「規模の経済」(資金力など)を重視することがよいか、ソフトウェア開発の多様性を維持することがよいか、一概に断定できないことから、米国のように、もっぱら、ソフトウェア開発の「規模の経済」(資金力など)を重視するのではなく、ソフトウェア開発の多様性を軽視することも必要であると考えた。そうなると、2004年の合併ガイドラインは、ソフトウェア開発における多様性にも目配りした妥当なガイドラインであり、矛盾はないという暫定的な結論を得た。
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