第一に、本研究の前提である、市場の電子取引における顧客の個人上の取り扱いの現状とこれに対する法制度の概要、ならびに顧客の電子取引における消費者意識を調査した。そして、電子取引における顧客の個人情報の利用が企業サイトにおいてどのようになされているかを資料に基づき調べた結果、企業側が積極的に個人情報を収集することを目的として、サイトを様々に利用していることが明らかになった。他方、情報に対する法制度の背景等を調べ、契約当事者の電子取引の意識について、統計資料や比較法的資料を用いて調べた結果、契約当事者の意識については十分に成熟しておらず、法制度においても十分な環境整備がなされていないことが明らかになった。第二に、こうした契約当事者の意識の低さに対する対策として、国内および海外での意見交換を重ね、比較法的見地からも、消費者意識の向上を目指したシステム構築が有用であることが明らかになった。このように本研究の前提となる仮説を検証するとともに、有用な教育ツールへ前提条件を明らかにした。第三に、こうした一連の研究成果をふまえ、研究期間の後半において、サーバを構築し、Webサイトを用いた双方向的なモデル構築の作業に着手した。本年度は、学内においてサイトにアクセスした者に対し、アクセスを通じてサイト運営者に収集される情報が直ちに画面上で示されるプログラムを組み、この画面の改良実験を学内の閉じられたネットワークでおこなった。
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