この研究プロジェクトの目的はゲーム論研究を進めるために必要とされる言語能力をつけ、また社会における人間の思考・行動の理解を養うことである。そのため『ゲーム理論家の酔夢譚:詩の饗宴』では、社会における人間の思考・行動に大きな影響を与えるものを課題として、作詞を行い、それのゲーム論的分析をおこなった。具体的に選んだ課題は、「モットー」、「ヒーロー」、「恋」、「美」、「思い出」、そして「近況」である。「モットー」は社会における個人行動の規範となり、「ヒーロー」は個人の目標や理想を与える。「恋」はしばしば心情を大きく変化させたり、行動の原動力にもなったりする。「美」はそれを超えた次元において人間の思考・行動の原動力を与える。「思い出」は個人にとって過去の重要な出来事であり、現在の個人の思考・行動に与える影響は大きい。「近況」はこういう心情を持って行動している個人が、現在をどのように感じ・認識しているかである。これらの課題で詩を作ることによって、社会における個人の思考・行動を理解し、そしてそれを表現する能力を養った。 また、論文"Inductive Game Theory : a Basic Scenario"(with Jeffrey J.Kline-投稿中)では、プレイヤーの信念・知識の経験からの発生過程から、そのようにして獲得された信念・知識を使って、新たに意思決定を行ったり、行動を変化させる可能性などに関して研究をおこなった。この研究によって、ゲーム理論の経験的基礎を与えられた。本論文は専門誌に投稿中である。 上記の二つの研究は、人間の感情機能と理性・認識機能の総合的分析である。
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