これまで使用されてきたセグレゲーション指数を用いて、わが国のセグレゲーションの状況を測定し、諸外国と比較した。 さらに、この指標は量的側面をしか把握できないという問題を克服するために、賃金、学歴、職位など労働の質的側面を反映できる新たな指標の開発を目指した。セグレゲーションの問題は、特定のグループ、例えば女性が、高所得・高地位のまたは安定的な職種から排除されるという側面が深刻である。日本ではこれらの質的側面をとらえたデータが存在するにもかかわらず、適切な指標が存在しないために分析されてこなかった。そこで、日本の公表データや個票データに今回開発する指標を適応させ、これまで行なわれた研究よりも精度の高い計量分析を試みることでジェンダーセグレゲーションの状況を把握した。 1.性別による職業・職務分離に関する国内外の文献サーベイを、経済学のみならず社会学の分野に広げた。 2.国際比較をおこなうために海外のマクロレベルでの労働力に関するデータを調べ、入手を検討した。 3.日本の『国勢調査』、『就業構造基本調査』、『賃金構造基本統計調査』などの公表データを入手し、マクロレベルでの時系列的な分析をDuncan's Dを含めた既存の指標を用いて分析することで、性差による職業・産業の分離とその変遷を捉えた。 4.上の結果を、海外における先行研究の結果及び当研究で収集した海外データによる分析結果と比較することで日本における性差の量的現状を把握する。 5.セグレゲーションの質的把握を可能とする指標の開発の取り組みも開始する。労働者の質的要因の取り込みは比較的データ入手が容易な、職位、賃金、就業形態、労働時間などから検討を始める。 6.『賃金構造基本統計調査』の数カ年のデータ及び企業内パネルデータなどの国内の個票データを申請・入手し、より精度の高い計量分析を実施する。
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