(1)住民自治組織に対する地方政府の補助金政策が、どのような所得再配分効果をもたらしているのかを検証するため、滋賀県下の市町村における実態調査を行った。とくに一般的補助経費、事業補助金、団体育成補助費における個別項目ごとの算定基準、各項目への配分額、歳出に占める比率などを調査し、定量的分析に向けた財政データの収集と準備を進めた。この調査に関連して、長浜市及び米原市の専門職員を招聘し、調査項目や財政データの詳細について、行政上の専門的知識の供与を受けた。なお、こうした補助金が地方の伝統的な商業・取引慣行による暗黙の契約を通じて、どのように還流しているのかについては、その実態の詳細を把握することは非常に困難な状況にあり、研究上の工夫・改善が必要である。 (2)地方政府の補助金政策による再分配メカニズムの調査と並行して、住民自治組織が地方行政との関連でどのような役割を担っているのかを検証するため、滋賀県下の市町村において実態調査を行った。特に旧来の自治会の包括的機能の低下と個別行政事項ごとの新たな自治組織の役割について、その詳細を調べた。なお、この調査項目との関連では、先端的地域医療ネットワークの形成で有名な佐久総合病院、佐久市および佐久穂町においても調査を実施し、旧八千穂村における全住民健康スクリーニングにおける住民自治組織の役割、特に健康づくり推進協議会や衛生指導員の組織の詳細について調査した。 (3)住民自治組織に関連するこれまでの研究について、それらの詳細を調べ、文献データベースの作成準備に着手した。 *以上について、簡単な調査報告等の取り纏めを行っているが、研究論文という形式で公表するには至っていない。
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