研究概要 |
1.イギリス植民地時代のビルマ(1886年から1948年)において作成された、通称「チッティーサージョウッ」と呼ばれる土地の権利移動や借金に関する手書きの文書を、平成17年11月から12月にかけて、ミャンマーで収集することを試みた。しかし、地方の裁判所には残っておらず、元判事や弁護士のところにあることが多いことがわかった。また、図書館等にも所蔵されていないようであった。そこで、これらの人々に人脈のあるミャンマーの書籍商をまず探し出し、彼に研究目的に合致する文書を所有している人物を探させて、彼を通じて800枚ほど購入した。 2.購入文書およびすでに東洋文化研究所に所蔵している文書のうち、文書471枚をスキャナーで読み込んでデジタル化した。さらにこれらの文書一枚一枚について、書かれた年月日、場所、貸し手と借り手あるいは売り手と借り手といった当事者、農地の種類、面積、場所、価格(質入の場合は貸与金額)、質入期間、買い戻し条件、質流れの条件、証人等について細かく分類し、エクセルでデータベースを作成した。 3.連合王国・ロンドンにあるBritish LibraryのOriental and Indian Office Collections, London School EconomicsおよびNational Archivesにて、「チッティーサージョウッ」が取り交わされた植民地期のビルマ農村に関連する諸資料のうち、とくに関係の深い1920年代から30年代に組織された農地流動化および農民負債に関する諸委員会の報告書を閲覧し、必要箇所をコピーおよびデジタル撮影した。さらに、来年度はビルマとイギリス本国との間で交わされた多数の書簡を閲覧し分析する必要がある。
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