本年度は、中欧、旧西欧の日系企業と研究機関への調査を踏まえて、ハンガリー、連合王国等で日系企業の経営管理・管理会計の面談調査を行った。同時に長年の共同研究者であるプロムウィッチ教授の支援を得て、これまでの研究との比較、分析と共に、EU拡大に伴う経済、産業、企業の変化と、日系企業の管理会計の展開と変化について討論、分析と資料収集を行った。その結果、拡大EUの目系企業の地域間ネットワークと対応の多様性、今後の日系企業の経営管理と管理会計の実態と対応について、EU経済圏の拡大の中での面談調査・文献収集の継続と共に、これまでの成果の整理と課題の分析も継続している。 1)日系企業への管理会計のフィールド・スタディ(1990年、2001年調査)と、今回の調査の比較考察により、拡大EU(中・東欧化)のケースの整理とその特徴の析出を行っている。 2)日系企業の経営管理の全体像と地域特性、またその現地適用と現地適応の可能性と課題について、英国とハンガリーでのヒアリング調査と資料収集を行った。その結果、2005年に実施したチェコ、ポーランド、オーストリアのケースと同様に、ロシアや東欧諸国への日系企業の更なる進展や東アジア(中国、韓国)からの影響も広くみられ、また同時にグローバルな視点からの対応・影響が窺えた。 3)拡大EU全体からの視点の重要性とEU統括本社と工場(支店)というネットワーク化が急速に推進されていることも窺えた。 4)この調査は、現在同時進行形のパイロット研究なので、その拡大の動向を把握する端緒となり、EU経済圏拡大のパラダイムの萌芽を把握することができた。同時に全体像を掴むには学際的研究と共に、地域(間)の連携を必要とする研究分野であり、ケース・スタディ蓄積の必要性を痛感した。 今回のパイロット研究をもとに、その一端を整理し、研究ノートにまとめている。
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