研究概要 |
本研究の目的は,災害時サポートというテーマに対して,社会ネットワーク分析の視点からアプローチする点である.近年,大きな災害後には,近隣ネットワークやボランティアによる自発的サポートが必要であることが指摘されているが,科学的な実証に耐える研究は少ない.特に,計量データは不足している. 本年度は初年度でもあり,適切な調査を実施するための準備期間とし,実際に調査対象地(新潟県栃尾市)に赴き,現地の視察をするとともに,数人のインフォーマントから聞き取り調査を行う予定であった.そこで,中越地震の被災地の1つである新潟県栃尾市(平成18年1月1日より長岡市と合併)において,市役所復興対策室の協力を得て,同室にて栃尾市内の被害状況,復旧・復興状況等に関する聞き取り調査を行った(平成17年7月).そこで,同市では,各集落に区長制度が存在し,災害時および復旧・復興時に区長が果たした役割がきわめて大きかったことがわかった.そこで,翌8月,市役所から紹介してもらった3つの集落の区長および,仮設住宅の副区長に対してインタビューを行った.また,各区長のつてなどで,数人の一般の住民に対してもインタビューを行った. さらに,当初の計画では,冬期にもう一度聞き取り調査を行う予定であったが,次のように変更した.すなわち,夏の区長からの聞き取りをもとに,災害時および復旧・復興時の住民のネットワークとその活用について考察した上で,平成17年12月に,市内の現在および震災当時の全区長に対して,質問紙調査を行った.そのデータは現在分析中である.
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