研究概要 |
アイヌ女性の複合差別の実態について、北海道内の札幌市を除く地方に居住するアイヌ女性計10名を対象にした、差別体験の聴き取り調査を実施した。調査地は、釧路、上川、白老,鵡川、静内、苫小牧の5箇所であり、2006年9月より2007年1月にかけて実施した。1名につき約1時間インタビューを行い、これまでの生活体験において差別を受けた場所、時期、差別した人、差別の形態について聴き取り調査をした。とれまでの調査結果としては、差別の多くが学校機関(小学校、中学校) においてであり、グラスメートによる差別はもとより、なかには担任教師による差別があったことが判明した。ことばによる差別が主であるが、クラスメートによる差別のなかには、身体的な特徴についての指摘により差別を受けたことも明らかになった。体の特徴としては、毛深いが主な理由となっている。思春期の多感な折には、周囲からの差別的な眼差しやことばがけに敏感になっている時期でもあり、差別による精神面でのマイナスの影響が大きいことがわかった。また、結婚の際に、結婚相手である日本人家族から差別を受け、結婚そのものへの反対をはじめ、結婚後も交際がないなどの差別を受けていることも明らかとなった。さらには職場においても、間接的ながらも差別されていると感じる体験をしたことも明らかとなった。
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